狼と森の番人 ...03
帰ると、エルフィンがいなかった。
狩りに行ったのかもしれない。冬は獲物も少なく、失敗が続くこともあるようで、エルフィンはしばしば小屋を留守にした。
しかし彼は、成否にかかわらず、いつでも何事もなかったかのように帰ってくる。
三日までは、落ち着いていられた。五日が経つと、外の物音に過敏になった。微かな音がするたびに、戸口を開けて名前を呼んだ。
一週間も過ぎると、ついに小屋を飛び出した。彼のお気に入りの場所を辿り、名前を叫ぶ。危険な水辺、彼の嫌う蜂の巣のそばも、思いつく全てを回った。声は冷えた空気を切り裂いては散り散りになる。
覚えているかぎり、エルフィンはいつもセイジの暮らしの中にいて、呼吸のようなものを共有していた。
十日目の朝、彼の姿はまだなく、その事実にしばし呆然とした後、外へ駆け出した。
叫んで、叫んで、冬の森の静けさを引き千切る。
静寂が彼を隠しているとでもいうように、セイジは声のかぎり叫んだ。
そうして、見つけた。
凍え切った白い体を抱きしめて、絞り出すように、名前を呼んだ。
- 2018.03.13